ドキドキワンウェイバルブ(後編)

【ほぼ日刊 絶品輪業通信 No.35】

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中の人

今回のお話は昨日の続きです。

前回のお話は、スズキ GT380
サンパチ初期型のエンジンに、SRISバルブの不具合が見つかったこと。谷川工場長がチェックバルブの点検をして良かった。気が付かないままだったら、この先にいらっしゃるお客様にご迷惑をかけることになっていました。

見ていたパーツリストに記載されていたSRISチェックバルブがネジ山がある絵だったので、ねじ込みだと思っていました。ところが工具で回してもまったく出てこないOrz、いちおう掃除なんかしたら使えるようになったりして、というスケベ心もありまして真鍮は柔らかいので破損にならないよう、谷川工場長は気を使いながら丁寧に作業しました。
しかし、う~んはずれない。

参考:これと同じバルブだと思っていました。

幸いなことに、部品取り用エンジンがあり、それのチェックバルブを取り外してみることに。見た目はボロボロだけど回すとすんなりでてきた。出てこないののに納得、なんとはめ込式で、ネジが切っていなかったんです。初期型はそのタイプだったんですよ。そこからもう不具合が発見されたバルブなので破損をしてもいいと決めて、とりあえず引き抜こうと。バイスで掴んで引っ張ってもうんともすんとも、『大きなカブ』状態です。うんとこしょ、どっこいしょ、まだまだカブ、じゃないバルブは抜けません。

バルブのホースを取り付ける先っちゃ部分を切り落として、ドリルで穴を開け、タップでネジ山をたてる。こうやってネジがはいるように。このネジにL字のアングルを共締めして、フックをつけたスライディングハンマーでうりゃって引く。
(使ったのは写真の工具と違いますが、これに近い工具)

抜けました!!!ばんざ〜い!!!

ん、んん、んんん、あれ?なんかない。バネがでている。
さきっちょがない。

ありました……(;´д`)トホホ…

抜けない理由は中でしっかり固着。ネジを回したときに折れたか、スライディングハンマーの使用時に折れたのか。残っちゃった。

エキストラクタで抜きました。抜けてよかった。見上げたもんだね屋根屋のふんどし。

こんな感じでさきっぽ折れ。

こういう構造でワンウェイになっている。その玉が、今回の作業の原因かもしれないですが、玉がバネの中にめりこんどる。これじゃワンウェイにならないよね~

これで未来のGT380オーナーさんに、「壊れてるっす」と言わなくてすみました。私はLEDライトを持って撮影しながら照らしてただけですが、谷川工場長と21時頃まで「ああでも」「こうでも」と言いながらやってました。

このSRISは、GT380でも後年なくなります。なくなった理由はいろいろあるでしょう。2ストオイルの進化によって煙が出にくくなったのもあるかもしれません。煙より製造コストになったのかもしれませんし。後年のスズキ2ストでSRIS復活することはありませんでした。

と、いうことで、GT380 サンパチSRISワンウェイバルブ騒動記を終わりたいと思います。

また、おもしろいネタがあったら書きますよ~

絶品輪業 中の人

人気のビンテージバイクだけでなくマニアなものまで強くこだわり、販売をしているビンテージバイクディーラー「絶品輪業」の中の人です。

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