【ほぼ日刊 絶品輪業通信 No.46】
今回は、『過去に販売した車両シリーズ』です。
だから現在在庫はありません。
紹介するのは MOTO GUZZI 850 Le Mans であります。
この目が飛び出した独特のビキニカウルと、セパハンのスタイルがめちゃカッコイイ。なのに一般的には知られていない。
1975年のEICMA(ミラノモーターサイクルショー)に登場して、翌1976年から発売。モトグッツィの代名詞とも言えるOHVの空冷4ストローク縦置き90度Vツインエンジンを初採7用したのがV7シリーズでした。その中のV7S3が積んでいた5速、748.4ccエンジンをベースに拡大、844ccにしてより大きな口径のデロルト製キャブを取り付け、圧縮比10.2(意外と高い)で最高出力は80HP/7300rpmを発揮した当時一級のスーパースポーツですよ。
これはいわゆる「マークI」と呼ばれるもので、1979年モデルとして1978年に発売された「マークⅡ」はもっとカクカクしたデザインで、それはそれで趣があるのですが、絶品輪業中の人としてはこのデメキンみたいな初期型のほうが好きです。
850 Le Mans Ⅱ
MOTO GUZZI モトグッツィは1973年からイタリア系アルゼンチン人である、アレッサンドロ・デ・トマソの傘下にあったから、同じくデ・トマソ傘下だったベネリの 900 Sei にもこのビキニカウルが使われていました。
デ・トマソといえば、中の人がはじめて自分で買ったクルマがダイハツ シャレード デ・トマソ ターボでした ───どうでもいい話ですが。3気筒ターボはいろいろイジったのもあって2回ブローして解体屋さんで買ってきた5万円のエンジンに積み替えましたね。懐かしい思い出。同じく解体屋さんで手に入れたシティターボⅡブルドックのインタークーラーをつけようとしたこともありました。
話を戻してル・マンについて、フロントダブルディスクブレーキはブレンボの鋳鉄ディスク(φ300mm)にブレンボのキャリパー。これにはインテグラルブレーキシステムというのが装備されており、リアブレーキペダルを踏むと、フロントの左側ディスクのブレーキもきいて、ノーズダイブをおさえるビックリドッキリメカがついております。当時のカタログでは時速100キロで急ブレーキをして通常のブレーキシステムより12m短い移動距離だと書いていました。フォークインナーチューブ径はφ35mm。
ホイールは前後18インチです。
現代のモトグッツィにも受け継がれるエンジンレイアウト。ボア83mm、ストローク78mm、変速は5段。変速比は1速=2.000、2速=1.388、3速= 1.047、4速=0.869、5速=0.750。4、5速はオーバードライブなんですね。
なぜこんなに詳細がわかるか種明かしをしますと、この輸入された車両には事細かく書かれたオーナーズマニュアルが中に入っていたんです。
マニュアルの最初に注意文
ライダーの皆様へ
まず最初に、弊社のバイクをお選びいただき、ありがとうございます。
このマニュアルに記載されている指示に従うことで、バイクを長くトラブルなくお使いいただけます。
バイクに乗る前に、このマニュアルをよくお読みになり、バイクの機能と安全な操作方法をご確認ください。
すべての主要な点検およびオーバーホール作業は、Moto Guzzi を迅速かつ適切に修理するために必要な設備を備えた弊社のディーラーが行うのが最適です。
保証期間中に Guzzi ディーラー以外が修理または調整を行うと、保証の権利が無効になる場合があります。
こんな訳でいいでしょうか。
キャブレターはデロルト製 PHF36B 加速ポンプ付っす。
ちなみにメインジェット:135、アイドリングジェット:60、スタータージェット:70、ポンプジェット:38、ニードル:K5(2ndノッチ)
オイルパンはフレームのアンダーチューブよりかなり下に飛び出しています(これで低重心とも主張)。サイドスタンドが前側にあってまたがったままだと足が届きにくい。
シングルシートっぽいカクカクデザインのシートがステキ。
ステダンあります。
4気筒エンジンのカワサキZ1やZ900よりスペックで10HPほどパワーは劣るものの、乾燥重量で約40kgも軽くて。軽快なハンドリングは、多くのライダーを魅了した(らしい)。これは、まさに当時最新のスーパースポーツでした。
カフェレーサースタイルで今乗っていても絶対にカッコイイよね。また入荷してこないかな。ぜひ乗ってみたい。
それでは、また、マタンキ!
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